七十歳死亡法案、可決
アクセスありがとうございます。
『七十歳死亡法案、可決』読了しました。
夫の母を介護する妻のストーリーから始まる、家族それぞれの戦いを描いています。
政府が七十歳になったら全員安楽死させる法律を制定して、2年後からそれが施行されることで、介護の現場が色んな形で変化が生まれます。
まず、国家の財政が破綻していて、高齢者を面倒見ない事で財政が回復する為の政策、
七十歳以上の人は2年後自分が死ななければいけないという事で、自分の生を諦める母・菊乃。
残り15年しかない中で2年間で介護生活が終わる兆しが見えた東洋子。
残り12年しかない中で定年まで働くことをやめ、自由に生きる夫・静夫。
読み進めていくうちに、
妻・東洋子の辛さに、なんて介護の現場が辛いんだろうと思い胸が詰まるのですが、本をめくる手が止まらず続きがどんどん気になりました。
主に心に残った箇所は、
✔️介護の現場 東洋子と菊乃とのリアル
✔️東洋子の家出、家族はどう変わる
✔️周りの人のサポート
『介護の現場 東洋子と菊乃とのリアル』では、
まず私自身、介護を知らず、なんとなくのイメージしかありませんでした。
七十歳死亡法案という法律が決まった後ですし、小説の中ですけど、描写はとてもリアルな物に感じました。
夜中に何度も起こされる、息子の事は可愛いから強く言えず妻の前で厳しくなる、腰が痛いからマッサージしろ、お風呂やトイレの様子など。
東洋子も55歳で決して若くないので、高齢者が高齢者を支えなければいけない社会がありありと出てました。
加えて、旦那の静夫は仕事とゴルフで家にいない、娘は家を出て、息子は引きこもり。
介護を一人で担い、菊乃から厳しい言葉を言われ続ける苦しさは、想像を絶するものです。
そんな生活を続けていましたが、東洋子も七十歳死亡法案で救われていました。
後2年我慢すればこの生活から抜け出せると思い、必死に耐えていました。
そんなある日、静夫から東洋子と菊乃に話があると言われました。
内容は七十歳死亡法案で、残り人生も短いので、定年退職を前に会社を辞めることにしたと。
東洋子は母の為に仕事を辞め、介護を手伝ってくれると思っていました。
が、その内容は、
山岳部の友達と2人で世界を旅行するというものでした。
衝撃です。
妻が家も出ず介護をしているのに、自分は海外で好き勝手な事をするつもりか。
東洋子も同じ気持ちになり、もうやってられなくなり、家を出ることを決めました。
静夫が海外旅行に行き、東洋子がいなくなり、家には菊乃と引きこもりの息子の正樹だけです。
正樹は、菊乃の呼び出しに東洋子が反応しない事に部屋から出て、祖母の元に事情を話します。
そして祖母の介護をやらざるおえない状況になりました。
正樹が助けを求めますが、家族は誰も助けてくれませんでした。
自分勝手な家族に怒りつつ、自分も母にそうさせていたことを反省しながら、祖母と向き合って行きます。
一方、姉は、
実家にいると母から祖母のサポートを求められてしまうので、働く為にも一人暮らしを始めていました。
その後、帰国した静夫は正樹とともに介護を行う。
正樹の友人の助けもあり家をリフォームしたり、姉が友人の介護士を連れて来てプロの手を借りたりと、介護の現場が様々なサポートで変わって行きます。
また家を出た東洋子も働きに出て、仕事に精を出していました。
また七十歳死亡法案は、廃案が決まりました。
財政圧迫が原因でしたが、寄付が集まり、国民の意識が変わった事で、お金の掛け方も変わりました。
こうして七十歳死亡法案が可決されてから、色んな変化を、東洋子を中心に家族が変わって行きました。
この本を読み、私が介護の現場に立ったら必ず、
プロのサポートを受ける事、
お金をかけても家族が生活しやすい環境を整える事を、
決めました。
そして自分が仕事に出ているなら、全力で主で行なっている人をサポートしないと家族が壊れてしまう危機感を感じました。
意識が変わり、家族のあり方を考えさせるものすごい小説でした。